博士が愛した数式 読破
①愛するとはどういうことかを教えてくれる。
彼の愛し方は正統的だった。相手を慈しみ、無償で尽くし、敬いの心を忘れず、時に愛撫し、時にひざまずきながら、常にそのそばから離れなかった。(P83)
博士の場合、対象が数だったのだが。
② 人と心を通わせるにはどうすればよいかが書かれている。
小説は、その書き出しがおもしろい。すっとその世界に誘ってくれる。
80分しか記憶がもたない大学教授。何人もの家政婦がすぐに止めてしまうこの人と、今回の家政婦さんが心通わすまでがおもしろかった。
③数学的知識がおもしろい。
完全数 28 江夏豊の背番号!
約数の和が自身になる数 1+2+4+7+14
友愛数 220と284 互いの約数の和が相手になる数。
1億までに存在する自然数の数 5761455
1〜100までに存在する素数の数25。その中で2だけが偶数
三角数を使ったnまでの自然数の和の求め方
④ 数学に対する博士の態度に好感を持った。
・数字に感情移入している。「神のノートをちらりと見ただけ」と実に謙虚だ。真実を追い求めるというのはこういうことだろう。
心に残る小品。