『春雷』(立松和平)読破

近郊農村が都市化していく課程を農民の側から描いた作品。
祖先伝来の田を売り、お金持ちになった代わりに農民であることを捨てた父、わずかに残った土地で温室トマトの栽培を始めた青年などが描かれている。
 決して真面目、品行方な若者が登場するわけではない。身を持ち崩した父、崩壊しかけた家族が描かれる。よくある話だが人間の醜さと青年の生の生き方が丹念に描かれている。社会派の小説。

『春雷』三部作の第1作。主人公の結婚式で終わる。次はどうなるのか。
立松和平は、小学校の国語の教科書にも登場する。また絵本も手がける。環境、自然をテーマにしたものが多い。今は北海道に住むとか。